趣味と日常と妄想のごった煮。 ネタバレしてるので要注意。
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4raさんの日記の麻生と祈津のイラストを拝見し、また頑張ろうと気合いを入れました。
それに読者は少なくても、いつも励ましてくれる方がいるんですもん! 私、書くわ。
今日は既出部分の直しじゃなくて、付け足したいエピソードをちょこちょこ書いてました。 荒書きですが、雰囲気だけでもどうでしょう?
コレ、中盤辺りに組み入れたいんですけどー……(恐る恐る) ↓
それに読者は少なくても、いつも励ましてくれる方がいるんですもん! 私、書くわ。
今日は既出部分の直しじゃなくて、付け足したいエピソードをちょこちょこ書いてました。 荒書きですが、雰囲気だけでもどうでしょう?
コレ、中盤辺りに組み入れたいんですけどー……(恐る恐る) ↓
智秋は無邪気に笑って言った。
「ねぇ、拳銃見せてよ。 持ってるんでしょう?」
祈津は背広の内側に手を入れると、なんの躊躇いも見せずにそれを掴み出した。
ガンメタルの冷たい色が室内の灯かりに照らされ、重い光を放つ。
「今まで何人もの警察官に言ったけど、本当に出した奴なんていなかった」と驚いて目を瞠る智秋を前に、祈津は無言でそれをひと撫でし、何処かを操作した。
ガチリと言う金属音と共にグリップの中からマガジンが抜け落ちる。彼は抜き出した弾をスラックスのポケットにしまってからマガジンを戻し、拳銃を智秋の手の上に乗せた。
「ご覧になりたかったのでしょう? どうぞ」
渡された1キロ弱の鉄の塊を、智秋はどうしたら良いのか分からずに眺め、さっき祈津がしたようにバレルを撫でてみた。
ここから飛び出す鉛の玉が人を殺す事もあるのだ。しかし、それは智秋にとってドラマやアニメの中の出来事でしかなく、どうしても具体的なイメージは像を結ばない。
「撃った事ある?」
「実際の現場ではありません」
よく見ると、引き金に小さなゴムが噛ませてある。
「それは誤発防止です。外していいですよ。 それからこのセイフティレバーも。 そう、それでトリガーを引いてご覧なさい」
智秋は祈津を見上げた。
「おまえ、馬鹿なのか? こんな事、上司にバレたら始末書くらいじゃ済まないだろう」
「麻生にもよく馬鹿だと言われますよ。 ですが、人を見る目だけは持っているつもりです」
両手でそれを握り、銃口を壁に向けて引き金に指を乗せる。それだけで智秋の心臓はどくどくと音を立てた。空だと分かっていても、引く勇気が出ない。
重さと緊張とが相まって、とうとう引き金に掛けた智秋の指が震え出した。
「智秋さん」
智秋は祈津の手にそれを返した。
「馬鹿なのは僕だったね」
「気が済みましたか」
「うん。 ……ごめんなさい」
祈津は座るよう智秋を促し、目の前でそれの手入れを始めた。
「何かあった時に、あなたの指紋が出たら大変な事になりますからね。 ついでに掃除もしましょうか」
長い指が滑らかに動き、小さなプラグやスライドを操作する。スプリングが飛び出して、1分もしないうちに大まかな分解が終わった。
「凄い、なんの道具も使わずにバラバラになっちゃった」
智秋の上げる感嘆にも、祈津の手は淀みなく動き続ける。ハンカチ程の大きさの柔らかい布で一つ一つの部品を丁寧に磨き、それが終わるとまた元通りに組み立てた。安全装置を確認して弾を込め、ゴムのストッパーをしてからホルダーに戻す。
何もかもが手品のように目の前から消え、鮮やかで硬質な印象だけが智秋の中に残った。
「ねぇ、拳銃見せてよ。 持ってるんでしょう?」
祈津は背広の内側に手を入れると、なんの躊躇いも見せずにそれを掴み出した。
ガンメタルの冷たい色が室内の灯かりに照らされ、重い光を放つ。
「今まで何人もの警察官に言ったけど、本当に出した奴なんていなかった」と驚いて目を瞠る智秋を前に、祈津は無言でそれをひと撫でし、何処かを操作した。
ガチリと言う金属音と共にグリップの中からマガジンが抜け落ちる。彼は抜き出した弾をスラックスのポケットにしまってからマガジンを戻し、拳銃を智秋の手の上に乗せた。
「ご覧になりたかったのでしょう? どうぞ」
渡された1キロ弱の鉄の塊を、智秋はどうしたら良いのか分からずに眺め、さっき祈津がしたようにバレルを撫でてみた。
ここから飛び出す鉛の玉が人を殺す事もあるのだ。しかし、それは智秋にとってドラマやアニメの中の出来事でしかなく、どうしても具体的なイメージは像を結ばない。
「撃った事ある?」
「実際の現場ではありません」
よく見ると、引き金に小さなゴムが噛ませてある。
「それは誤発防止です。外していいですよ。 それからこのセイフティレバーも。 そう、それでトリガーを引いてご覧なさい」
智秋は祈津を見上げた。
「おまえ、馬鹿なのか? こんな事、上司にバレたら始末書くらいじゃ済まないだろう」
「麻生にもよく馬鹿だと言われますよ。 ですが、人を見る目だけは持っているつもりです」
両手でそれを握り、銃口を壁に向けて引き金に指を乗せる。それだけで智秋の心臓はどくどくと音を立てた。空だと分かっていても、引く勇気が出ない。
重さと緊張とが相まって、とうとう引き金に掛けた智秋の指が震え出した。
「智秋さん」
智秋は祈津の手にそれを返した。
「馬鹿なのは僕だったね」
「気が済みましたか」
「うん。 ……ごめんなさい」
祈津は座るよう智秋を促し、目の前でそれの手入れを始めた。
「何かあった時に、あなたの指紋が出たら大変な事になりますからね。 ついでに掃除もしましょうか」
長い指が滑らかに動き、小さなプラグやスライドを操作する。スプリングが飛び出して、1分もしないうちに大まかな分解が終わった。
「凄い、なんの道具も使わずにバラバラになっちゃった」
智秋の上げる感嘆にも、祈津の手は淀みなく動き続ける。ハンカチ程の大きさの柔らかい布で一つ一つの部品を丁寧に磨き、それが終わるとまた元通りに組み立てた。安全装置を確認して弾を込め、ゴムのストッパーをしてからホルダーに戻す。
何もかもが手品のように目の前から消え、鮮やかで硬質な印象だけが智秋の中に残った。
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